「物忘れがひどいな~」とか「激しい物忘れが増えた」と最近感じることがありませんか?
・家族に同じことをたずねる。
・しまった物の場所を思い出せない。
・最近会ったばかりの人の名前を忘れてしまう。
このような経験は珍しいことではありません。
記憶は年齢ともに機能が低下していきます。ですが、急に「忘れる」事が多くなってきているとしたら、病気が原因かもしれません。
『物忘れがひどい』けど心配ない?物忘れと年齢について
人は年齢を重ねると物忘れが増えてきます。ですが、ほとんどの物忘れは限定された事柄であり、日常生活にはほとんど大きな害はありません。簡単に言いますと「笑い話」の範囲であり、他人に迷惑をかけることも少ないのです。では、年齢を重ねると物忘れが増えてくるのでしょうか?
加齢による物忘れ
お爺さんが「アレを取って」言うと、お婆さんが「コレね」と渡す光景を観たことをあるのではないでしょうか。第三者的にみるとエスパーの会話です。
しかし、老夫婦にとっては普通の日常会話です。このケースにおいては、お爺さんは正しく欲しい物を認識していて、物の名前が出てこないだけなのです。これは、加齢による物忘れであり「存在は覚えているのにただ名前が出てこない」だけなので心配のない加齢による物忘れです。
人間の記憶力は20歳をピークを低下してしまうので、物忘れがでてくるのは仕方がないことなのかもしれません。特に日本人の平均寿命が伸びたのは明治以降の近代化によることが大きいようです。明治時代の平均寿命は40歳位、戦前でも50歳位とされています。現代の日本人の平均寿命は男性で80歳程度、女性は86歳程度です。世界でもトップクラスの長寿国で、超高齢化社会を構成している原因でもあります。
人間の生物学的な寿命は40歳~50歳であり、現代の長寿は医学の発展によるものが大きいのです。そう考えると記憶力が20歳でピークを迎えるのは生物学的には不思議ではないのです。平均寿命が伸びることで、記憶力のピークを過ぎた人が増加することになることから、物忘れが多く出てくるのも仕方がなく、高齢者に物忘れが多いのも仕方のないことなのです。
ですが、普通の「物忘れ」ではなく、危険な「ひどい物忘れ」も存在します。
普通の物忘れとひどい物忘れ
物忘れには「普通の物忘れ」と「ひどい物忘れ」があります。
今までお伝えしてきたのは、加齢による物忘れであり、仕方の無い物忘れです。
しかし物忘れの原因が単なる加齢によるものではなく、病気が関連している可能性もあります。ここからは「ひどい物忘れ」について紹介いたします。
「物忘れがひどい/激しい物忘れ その1」自分の行動・行為を忘れてしまう
よく「昨日何やったっけ?」「昨日の夕食何を食べたっけ?」等と直近のことを忘れてしまうことはよくあることです。
大抵は少し考えた後で思い出したり、誰かから「昨日の夕食はカレーライスだったでしょ」と言われたりすることで、思い出すことができます。これは「普通の物忘れ」で、特に気にする必要性はないです。
しかし、「いや、そのようなことはしていない」「覚えていない」等と、自分自身の行動・行為を忘れてしまっている場合は「ひどい物忘れ」です。
もっと簡単な例ですと、「今日のお昼ごはん何食べたの?」と急に質問されて答えられないのは単なる「普通の物忘れ」ですが、お昼ごはんを食べたこと自体を忘れるのは「ひどい物忘れ」と言えるでしょう。「ひどい物忘れ」は物忘れの内容よりもその行動や行為を忘れてしまうことであり、同じことを何度も繰り返してしまうことがあるのです。
また、約束の内容を忘れるだけでなく、約束をしたことを忘れてしまう人がいます。そのような人は「約束したでしょう」と言っても、約束した行為を覚えていないので全く話になりません。このような状態は病気が関係している危険な物忘れなのです。
「物忘れがひどい/激しい物忘れ その2」何度も同じことを話す
会話をしていて、同じ話をしてしまうことは珍しいことではありません。単なる「普通の物忘れ」です。特に、正確に理解してほしい話や面白かった話等は何度も話してしまいます。しかしそれが何度も繰り返される会話であったとしたら、それは「ひどい物忘れ」の可能性があります。
例えば「印鑑が見つからないんだけど…知らない?」と聞かれて「知らないよ」と返答したのに、1時間位おきに同じ質問をされてしまいます。しつこいので「本当に知らりません!」と怒ってしまいましたが、質問した人は、「何で怒っているの?」とした表情です。これはなんども聞いたことを覚えておらず、初めて聞いたと思っている状態です。同じことを何度も話してしまう場合は、「ひどい物忘れ」かもしれません。
「物忘れがひどい/激しい物忘れ その3」物や人を忘れてしまう
「ひどい物忘れ」には物や人等の存在自体を忘れてしまうことがあります。
家庭で使用している洗濯機を例に挙げてみましょう。最近の洗濯機は使用方法も複雑なものあります。おまかせ機能を使用すれば簡単かもしれませんが、色々な便利な機能を覚えようとすると一苦労です。中にはそれらを覚えるのが苦手な方もいて、毎回苦労することもあると思います。
ですが、使用方法だけでなく洗濯機そのものを忘れてしまったらどうでしょうか?「この洗濯機で手洗いでする場合の操作はどうだっけ?」は単なる「普通の物忘れ」ですが、「洗濯はどの機械でやるの?」は洗濯をする機械を忘れている「ひどい物忘れ」です。
また人でも同じことが言えます。テレビのタレントさんの名前を覚えていないことはよくありますが、顔を見ても記憶にない場合は「ひどい物忘れ」と言えます。「SMAPの中居」さんを、テレビで見ると「えーと、SMAPのリーダーの…」と思い出せないことがありますが、これは「普通の物忘れ」です。テレビで顔を見ると認識できるのですから単に興味がないだけです(SMAPファンの皆様ごめんなさい)。しかし何回もテレビで見ているのに人物を思い出せないのであれば、存在自体を忘れてしまっている可能性が高いと考えられます。友人や両親に声をかけても反応が薄い場合は、名前だけでなく存在を忘れているかもしれないので、その場合は「ひどい物忘れ」が進行している可能性があります。
「物忘れがひどい/激しい物忘れ その4」日常生活でのいつも習慣を忘れる
人にはそれぞれ独自の習慣があるはずです。例えば嗜好や好みもその一つであり、コーヒーを飲む時に砂糖やミルクを入れるか入れないかまた量も生活習慣です。しかしいつもコーヒーに砂糖を入れていた人が、ある日突然入れなくなったらどうでしょう。当然「今日はブラックで飲みたいな」と思うことはありますが、コーヒーを飲む時の習慣を忘れていることも考えられます。
特に、料理の味付けが急に変化したりするのも、生活習慣を忘れたことが原因とも考えられます。味が濃くなったり薄くなったりするのは、もともと作っていた料理を忘れてしまうのが原因です。日常的に行われている動作・作業は習慣であり、頭で考えなくても感覚で行います。しかし、「ひどい物忘れ」の状態ではその感覚を忘れ、どうすればよいのかを思い出すことができなくなるのです。
「物忘れがひどい/激しい物忘れ その5」毎日の行動を忘れる
サラリーマンや学生の中には毎日決められた時間に出かけて、帰りも同じ電車で帰ってくる人が多いのではないでしょうか。
あるサラリーマンの話ですが、毎日会社の帰りには、降りる駅で奥さんに電話を入れるのが習慣でした。
いつもどおりに「今、駅に着いたから」と自宅の奥さんに電話をしました。奥さんは「あと10分位で帰るわ」と思い、お風呂の準備をしながら待っていましたが、今日はなかなか帰ってきません。
事故にでもあったのかと心配になって外の様子を見に行くと、10分の道のりを30分もかかって帰ってきたのです。
奥さんは旦那さんに理由を聞いたのですが、その返事が曖昧でよく解らないのです。
「いつもどおり歩いたのだが、途中で道が解らなくなって、間違えたのかと思ってウロウロしてしまった」と旦那さんは答えました。
旦那さんは「少し疲れがたまっているのかな」と言いましたが、奥さんは少し不安を覚えました。
通勤ルートは毎日通う道であり、本来であれば間違うことや忘れてしまうことは考えられません。しかしこの旦那さんは道を忘れてしまい、迷子になっていました。いつもは何も考えなくてもできる行動ができなくなると「ひどい物忘れ」かも知れません。この症状が進むと電車・バス・地下鉄の降りる駅や、自宅まで忘れてしまうこともあります。
「物忘れがひどい/激しい物忘れ その6」気分の落ち込み
過度のストレスによって精神疾患を発症することは、今の日本の社会では決して珍しいことではなくなってきました。
「不眠」「睡眠障害」「摂食障害」「不安」など、精神疾患の症状は多岐にわたりますが、そのほとんどは元気がなく気分も沈んだ状況にあるのです。
そしてこのような精神状態の中で物忘れが進行することもあるのです。
例えば、約束をしていてもその約束を忘れてしまい、さらにはその約束自体を思い出すことができません。
精神的に不安定だと、さらにその不安定さが増大し、精神疾患の症状はもっと悪化してしまい、今度は、約束することをためらってしまうのです。
そして引きこもりがちになり、より精神疾患は進行してしまうのです。
気分の落ち込みと共に物忘れがひどい状態になる場合は、「危険な物忘れ」の可能性があります。「危険な物忘れ」は「普通の物忘れ」とは違います。
簡単に考えないで症状を把握することが必要です。
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